先にお笑い芸人の研修や『人は聞き方が9割』の著者の講演を行った施設様で、また新たな形の研修を実施しました。接客に携わる全スタッフを対象に、マナーの基礎の確認とそれを活かしたサービス対応のロールプレイングというオーソドックスなカリキュラム構成ですが、何が新たな形だったのでしょうか。
まず第一に目的が違います。
通常接遇基礎を研修として行うのは、基本マナーを習得させ、施設のサービス方針やマニュアルに沿って統一することが目的です。その為、マナーが必要な理由に触れつつも、研修時間の中では基本マナーを体得してもらうこと、出来ていないことを知り正してもらうことを重視して行います。
こういった研修は、例えば全体のマナーがバラバラだったり、研修自体を初めて行う施設様などでは、有効です。
一方で今回の研修は、個々のコミュニケーションスキルを高めることが目的でした。
この施設でこれまで「発信する力」「聞く力」と異なる角度で研修を行ってきたのは、従業員それぞれの個性に合ったコミュニケーション能力を高めることにありました。
今回も、見かけは通常のカリキュラムでも全員に同じマナーを身に着けさせることではなく、個々が得意なコミュニケーションスキルを身に着けたり、高めたりすることを目指していた点が大きな違いです。
第二に、目的が違えば、研修の中での働きかけも変わります。
今回はその目的にあわせ、『セルフブランディング』の観点からマナーを捉え直し一般企業でも多くの研修を行っている講師による研修を行いました。
主な働きかけの特徴は、その人の最大の長所(になりうるところ)を見つけてあげること、正しい情報、望ましい在り方を説得力をもって伝えることで、各自が自身で今行っていることが最良なのかを考えるきっかけを提供する=気づきによる変化を促すこと、などです。
その納得感の鍵は、マナーは自身の為の学びであることと、その結果が自身が望むコミュニケーションとして返って来ることにあります。
この日は、一般的に研修といえば緊張感に溢れる風景が笑顔と自信の表情が溢れた時間になり、経営者の方、支配人は従業員の新たな表情も見られた、と喜ばれていました。
自社の従業員には今何が必要なのか、どうなってもらいたいのかという観点から「研修」を考えると、幾通りものアプローチがあります。研修を企画する上では、施設様が「何をしたいのか」よりも「どうなりたいか」ということが大事だと考え、お話をしています。