新入社員の多くは入社後すぐに、基本的な言葉遣いやマナーに関する新入社員研修を受講します。それから1年ほど経過すると、基本的な業務に慣れてくる頃となり、具体的な現場における臨機応変なマナーが求められるようになります。また、コミュニケーションスキルについても、日頃の業務の中で様々な経験をすることで、ある程度身に付いてくるタイミングです。
このタイミングを生かし、入社2年目の社員を対象に、今までの振り返りと次のステップに進むための意識づけを目的とした、「入社2年目社員向けのマナー研修」を開催しました。
カリキュラムの作成および、講師の選定にあたっては、受講者の特徴を事前に把握したうえで、「統一されたマナー」を習得することが目的ではなく、それぞれが自らの考えや個性を持ちながら、マナーを実践していくことを目指すカリキュラムとし、マナーを指導する際は、「セルフブランディング」を尊重しつつ、「自身のコミュニケーションを有利にさせる」という観点で行うことが特徴のサービス講師に実施してもらうことにしました。
この研修では、入社2年目の社員に、ビジネスマナーにおいて「できていること」を確認し、「できていないこと」はすぐに直す、また、「頭の中では分かっているけど使いこなせていないこと」に気づくこと、などを意識させることが大切です。
最初に、新入社員研修で学んだ「基本的なマナー」や「敬語の使い方」の復習から始めましたが、言葉遣いでは、「尊敬語」と「謙譲語」の使い分けや区別が難しく、ドリル形式で復習することで、今後も経験を重ねながら習得していただくようにしました。
今回の受講者は、渉外営業を行う方がほとんどでしたので、日頃の業務の中でどのようにマナーを実践するのかにもフォーカスし、取引先へ伺うシーンを想定したロールプレイングを行いました。単に訪問先での名刺交換といった商談に関するマナーだけではなく、訪問する前のアポイントを取るシーンから行い、メールや電話などのビジネスコミュニケーションマナーなどについても、一連の流れに沿った習得ができるカリキュラムとしました。このように「日頃の具体的な業務に合わせたマナーを実践すること」に焦点を当てたロールプレイングを行うことで、自身のビジネスマナーに関する答え合わせができ、改善すべき点は具体的に把握し、使いこなせていなかったことも再確認することができます。
また、入社2年目の社員は「まだまだ新入社員なので・・・」と思う方や、「もう2年目で後輩も出来たので、次のステップに進もう」と思う方もいるなど、捉え方が人それぞれになる頃です。
そのため「新入社員」というカテゴリーから、そろそろ脱却する時期であるという意識を醸成するため、「会社のために自分が主体的に動き、どのように貢献できるか」を意識づけるためのブレインストーミングを行い、新しいアイデアを集めます。このような意識づけは、研修において肝となる部分ですので、研修の中でも時間をかけて行いたいカリキュラムの一つです。
そして最近の特徴として、コロナ禍明けのリアルコミュニケーションの復活に伴い、応接室や乗り物等における「上座、下座」の基本や、接待や宴会における振る舞い方についてのマナーなどを、再確認する時間も設けました。また、最近問題となっている宴席等における「ハラスメント」については、セクシャルハラスメント的な言動、あるいはメールアドレスやLINEなどの執拗な交換要求に対する対処法などを学びました。
最後に、組織で仕事をする上で、必要不可欠である「報連相」の重要性を確認しました。このことは、1年目ではなかなか適切に実践できないことが多く、この研修で再徹底するきっかけとなり、「今回の研修の成果を上長へどのように報告するか」という設定でロールプレイングを行い、研修を終了しました。
「入社2年目社員向けのマナー研修」は、「新入社員」研修、「ベテラン社員」研修とは違いがあり、その分岐点となる重要な年次です。社会人としての道のりにおける、最初のチェックポイントとなり、良いところは伸ばし、悪いところは「悪い癖」となる前に改善ができる良い機会です。
研修はほとんどの受講者が消極的になりがちですが、自身のプラスとなることが実感できる研修を企画することが重要なポイントだと思いました。前向きに参加することで、次のステップへ進むことに自信が持てるよう、今後もそういった視点で研修を企画していきます。